満足のハードル

映画を観終わった後の感想でよくあるのが、思っていたより面白かったとか、思っていたよりつまらなかった、という表現。
『思っていたより』という言葉から分かるように、自分の中でハードルを作ってそれを基準に作品を面白いかどうか判断しているのだと思う。だから、有名作品の続編など、思い入れが強いものほど期待が高まり、自分の中で「面白い」と思えるハードルの位置を知らず知らずのうちにかなり高い位置に設定してるといえる。
僕は最近2作品、映画を観た。ターミネーター4エヴァ破だ。2作品とも思い入れが強い。ターミネーター1と2の初見のときは、絶望的な未来の姿に唖然としたし、何よりシュワちゃんターミネーターに恐怖も感動もした。スーファミターミネーター2には違う意味で絶望もしたが。
エヴァは、全盛期後に気になってTV版、劇場版と観た。人並みな感想だが、哲学的なアニメをこれまで見た事がなかったので、深い世界観に見事にハマった。
だから自然と2作品とも期待が高かった。ターミネーター4のほうを先に観たのだが、悪くはなかった。ただ、期待ほど面白くはなかった。迫力あるシーンは多々あるし、人間ドラマも用意してある。お約束のシュワちゃん登場もある。最後には定番のハラハラさせる場面もある。ただ、自分の中のハードルが高すぎた。観る前に設定していた高さのハードルを越えることはなかった。ただそれだけのことだ。
少し前に「ウォッチメン」という映画を観たのだが、これは原作を知らず、映画の情報自体もあまり入れずに観た。もちろん、期待のハードルは低かった。だが実際見終わると、そのハードルを大幅に高く飛び越えていた。なので、今年見た映画の中で1番はこの「ウォッチメン」であった。
エヴァ破を観るまでは。
エヴァ破はターミネーター4の様になるのではないかと危惧しつつも、ハードルを高く設定して観た。結果は、高いハードルを見事に飛び越えた。ずいぶん高いハードルだったが、気持ちいいぐらいに大幅に高く飛び越えてみせた。ものすごく簡潔に表現すると、ハリウッド映画以上にハリウッド映画のような盛り上がり方をした。
とにかく今年1位の映画はぶっちぎりでエヴァ破になったのだが、これはエヴァがたまたま高いハードルを越えられたからであって、もし越えてなかったら面白くはあるけど、1位にはならなかったと思う。だから、ハードルを高くして越えられなかった人にとっては不満に思っただろうし、そもそもハードルを高さでなくゆがんだ形で築いている人もいるかもしれない。面白い・つまらないは、結局は作品自体より自分の中のさじ加減によると思う。結局いいたいことは、amazonの評価を当てにし過ぎるなってことだ。そういうことを借りたトレマーズを観ながら思った。
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