『日本男児』

日本男児

日本男児

現在、世界一のサッカークラブ・インテルに所属する長友佑都
複雑な家庭環境に育った少年時代。ぐれかけた人生を変えてくれた恩師・井上先生のこと。
誰よりも努力をした東福岡高校時代。身体の不調に悩んだ大学時代。
FC東京監督との約束。そして、チェゼーナインテルでのプレッシャーとプレイをする喜び。
これからの目標。


日本を元気する“今一番熱い男”の現在とこれからが分かる必読の一冊!

読んで思う事は『前向き姿勢の大事さ』。
自己啓発本の如く、良い意識を持つことの大切さを何度も説く本書。
しかし、そこらの啓発本と違い、これがインテル所属の長友選手が言うのだから説得力がある。
長友選手は決して天才肌の選手ではない。努力、努力、努力の積み重ねで成功した選手。まさに努力の鬼といえよう。
まるで少年漫画の主人公のように、ずっと努力を続けた結果が今の彼なのだ。


本書には彼の努力に対する姿勢が、これでもかというほど述べられている。
長友選手は努力を嫌わず、むしろきっかけとなる人生の『壁』をいとおしくさえ思っているのには驚かされた。
彼はストイックに、そして病的なほどに自分を追い込み、そして成長させていく。
その姿勢にはもはや狂気じみた物を感じたのもまた事実。
しかしそれが長友選手の強さだ。そしてそれは決して彼だけの強さではなく、我々みんながその強さを持っているのだと、長友選手は訴えてくる。
壁を見つけ、その壁を乗り越えるための努力。誰しもができる事であり、それは小さなことの積み重ね。
だが誰もがそれを疎ましく思い、滞らせてしまう。
そこで重要なのが何度も言う『前向きな姿勢』であり、自分で自分を鼓舞する大切さ。それを彼は、自陣の輝かしい実勢を通して我々に訴えるのだ。


そして長友選手が世界的なチームであるインテルに移籍して気づいた事。
それこそが『メンタルの重要さ』。
自分のなかにある、誰にも負けない「ストロングポイント」を持つことで頑な自信を身に付け、心の体幹をも作り上げる。
これはサッカー選手に限る事ではなく、誰しもが自分に自信を持つ事の大切さを読んでいて気付かされる筈だ。
その上で、自信をつけて、自身を成長させるための課題を見つけ出すのも、重要だと説く。
課題を見つければ、あとはそれを必死になって解決させる。
長友選手はそうやって成長し、キャリアアップしていく。
読んでいて思わせるのは、「人間の成長に自信は不可欠で、自信をつけるための行動は、それ自体が自信となる」ということ。
努力して自信を身に付けられると、その過程である努力も、自信の一端になるのだ。
努力は大変であり、面倒くさい。そんな思いを払拭させるような、努力する構えの素晴らしさと凄さを説く本書は、老若男女、特に子供に読ませたい本であると、強く思わせる一冊だった。


この本では長友選手の生い立ちだけではなく、日々の生活において、自分を高めるための工夫や知恵がいくつも述べられている。
本書はただの自伝に終わらず、様々な知恵を与えてくれるのだ。
それは各人が生活においても絶え間なく努力することの大切さだったり、メンタルの持ち方の大切さだったり。
これらを説いた本書は、万人にとって良いきっかけを与えてくれる可能性を持つ本だ!


評価 ★★★★(五点満点中)