酒の魅力

久しぶりに、安い店で友人と酒を飲んだ。しかし飲んで飲んで、飲み過ぎてしまった。
吐き気を催すほどだ。実際、吐いたのだから仕方ない。
寝るときまで酔っ払い過ぎで気分悪く、「もう二度と酒は飲まん…」とまで思う。
しかし翌日に復調し、ふと「また酒飲みたい…」と思える瞬間があってしまった。実際には飲まないが。
酔って気分悪い時は「もう飲まん!」と決意する様に思うのに、再び酒を飲みたくなるのは何故か?
例え二日酔いで苦しもうが、人々が酒を止めず、好いて止まないのは何故か?
考えてみた。浮かぶ理由は単純。
やっかみを全てを忘れられるから。少なくとも、酔っ払っている時には。これに尽きるのでは?
これは登山にも似たものがあると思う。べろんべろんに酔っ払うと、生活、ローン、仕事…自分をがんじがらめる全てのやっかみから開放してくれる。
少なくとも泥酔している間、精神は自由になるのだ。まるで幼少期、両親の車の後部座席に居る時のように。
その時は精神が自由であり、何にも縛られず、精神が根本的な地位に戻れている気がする。
退行とは違う。政治的な、世間的な、日常からの開放は、まさに精神の裸体とでも言おうか、とにかく自由になれるのだと。
その快楽はすさまじく、縛られている人ほど泥酔したがり、その精神の裸体を楽しんでいるように思う。