エンダーのゲーム

エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))

エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))

数あるSF小説の中でも、秀逸とされる今作。
主人公エンダーが、バガーと呼ばれる異性生命体と戦うために育成され、繰り出される話。


面白いSFというのは驚く結末があるだけでなく、読み易さ・ジレンマを含むものだと説いてくれた。
この小説は表現が分かりにくい箇所がいくつかありながらも、それを気にさせない魅力と勢いがあり、構わずスイスイと読み進めてしまう魅力がある。
そして読み始めるとページをめくる手を止め難く、手を止めるタイミングも掴みにくい。
世界に浸り、つい読み込んでしまった。
この作品の良さは、生き生きとした登場人物の模写にある。
それは、決して人物の内情を肯定的に描いているわけではないが、それがリアルであり、またそれが共感を呼び、それが読者をより身近に引き寄せるのである。



最後の展開には驚かされた。良い意味で。
終わり方も悪くないと思う。
しかし正直、読み終えたあとの爽快感というか、達成感に似た情緒は期待したほどではなく、少し拍子抜けした。
幼年期の終わり』や『荒野へ』を読み終えたときほどの激情は湧き出てこなかった、というのが実情で、確かに素晴らしい作品ではあると思うが、何かいまひとつ、もの足りなく感じたのも事実であった。
★★★☆☆