ミスドのエンゼルクリームを初めて食べた。

本当に今さらながら、最近ミスドのエンゼルクリームを初めて食べた。
私は普段、あまりドーナツを食べない。ごく稀に食べる程度だ。
だからミスドを使うことは少ないし、行ったとしても買うのはポンデリングとかの定番。
このエンゼルクリームも定番だけど、ドーナツ型じゃないし、シュークリームみたいだから買いはしなかった。
しかし母がセール時に買ってきてたので、一つ、このエンゼルクリームとやらを頂いてみた。
手に持つとこびり付く粉糖が煩わしく想いつつも、パクッと一口。
…美味い。シンプルに美味いじゃん…。
…気付くとエンゼルクリームは、ヴァニラアイスがスタンド纏って通り過ぎた後のように、不自然な三日月形に姿を変えていた。
そして残ったエンゼルクリームも、瞬く間に姿を消した。それは実にあっという間だった。


中に入っているクリームはそれなりに入っているが、お世辞にも『たっぷり』と謳うほど多くは入っていないし、
クリームの味としても普遍的なもので、不味くはないが特別に美味しいものでもない。
しかし美味しいのだ。それでもだ。すぐに完食してしまうほどに。…それは私が疲れていたからだと思う。


例えるなら、雪山で遭難し、救助されてからすぐの食事がミシュラン3つ星の超高級『冷製かぼちゃスープ』よりも、
100円の『温かいインスタント味噌汁』の方が美味しく感じるように。


誰だって、嫌いな相手と会食するホテルの高級料理よりも、好きな相手とのファミレスの方が、美味しく感じるはずだ。



以前に読んだ本『食卓はいつもミステリー』で著者の阿刀田 高氏は、『食の美味しさ』について、こう語っている

「結局、美味いか不味いかは食べる人間のコンディション次第」

全くの同意だ。これに尽きると思う。


疲れている中で食べたこのエンゼルクリームは、
「母が家族のために買って来てくれた」という優しい思いがクリーム以上に詰まった、とても美味しい一品だった。