ベビースターのカップ焼きそば

普段食事をしていて感じるうまいは「うまいっ!」ではなく、「うん、うまい」というような感覚のうまいが多いと思う。
これはいわば確認的なうまさだ。
「うまいっ!」というようにびっくりするようなうまさを味わうことはめったにないと思う。「うまいっ!」と思うには、普段のものより突発して味が良いか、初めて食べる味のどちらかだ。だから年を取って色々な物に食べ慣れてしまうと、驚くような「うまいっ!」には出会いにくくなる。
そんな中、僕は小学生の時にこの「うまいっ!」味と出会った。それが、ベビースターカップ焼きそばだ。
このカップ焼きそばは、日清UFOのような円形状の容器で、駄菓子屋で売っていた。このカップ焼きそばを売っていた駄菓子屋は、お婆さんが一人でやっていて、いかにも昔ながらの駄菓子といった所だった。ここではカップ焼きそばを買うと、お婆さんがその場で作ってくれた。駄菓子屋内に動かなくなったインベーダー台がテーブル代わりに置いてあり、作ってくれるベビースター焼きそばをそのテーブルで、プール帰りによく友達と食べた。ちょうどプールの帰り道の途中にこの駄菓子屋があるので、友達とプールに行くと、帰りにはこの駄菓子屋に寄ってベビースター焼きそばを食べた。
この焼きそばを初めて食べたとき「うまいっ!」っと驚いた。他のカップ焼きそばも、もちろん食べたことはあったが、何か他のカップ焼きそばとは違い、とにかくうまかった。
次の年、また友達とプールに行き、久しぶりに例の駄菓子屋に寄ろうとすると、潰れてなくなっていた。ベビースターカップ焼きそばが売っているところはここでしか見た事がなかったので、それ以来、ベビースターカップ焼きそばを食べる機会はなくなってしまった。
思い出補正もあるだろうが、出来ればまたあの「うまいっ!」を味わってみたいなあ、と思った。